前回はこちら → ①暮らす自由が守られていない
・家を出たい子どもを応援するときには
家を出たい18歳未満に出会ったら、話を聞いたうえで、意思確認をしていきます。
家から出たい気持ちが強い場合には、本人の同意をもらい、児童相談所への相談のアシストをします。
どのように児童相談所に相談したらよいかを伝え、可能な場合は一緒に行くこともしますし、離れていたら、行く前に電話をして事情を伝えます。
そのうえで、相談後についてもプランをたてます。
つまり、一時保護を含めて、本当に家から出られるための先の方法を考え、用意するのです。
例えば、一時保護は児童相談所の中に保護所がありますが、空いていないこともあります。
その場合は、一時保護委託といって、自立援助ホームや児童養護施設、里親さんが一時保護を受け入れることができますので、受け入れ先を検討しておきます。
また、中学生や高校生などの年齢であれば、一時保護ではない形のサポートも考えられます。
児童相談所の理解をもらい、本人の意思と周囲の理解が合致すれば、親戚の家や友達の家や制度外の支援者の生活支援なども選択肢になるでしょう。
ただし、その場合は制度外なので、受け入れ先がどれだけ児童相談所の信用を得ることができるのかがポイントになりますし、本人の意見を前面に出すことも大切になります。
(その際は、児童福祉法の第二条に書かれている「意見の尊重」「子どもの最善の利益」を前面に出しながら、具体案を用意して交渉します)
・意思が尊重される経験の重要性
本人が家に帰りたくないのであれば、潜在化している性被害からのリスク回避の意味でも、長年の抑圧の被害の後遺症の可能性を考えても、すぐに気軽に出られるような仕組みがとても大切です。
それは、物理的に嫌なところから離れて少しは穏やかに過ごせるようにという意味もありますが、「こんなのイヤだ、助けて!」と発した時に、実際に助けてもらえるという経験になることの方がもっと大切です。
逆に言うと、「助けてって言ったのにダメだった」「嫌だと言ったのに我慢することになった」「自分の気持ちを言ったら余計ひどい目にあった」という経験をさせてはいけないということです。
それが、現実はほんと逆なことが多いのが悲しいところです。
だから、助けを求めた経験が次に助けを求めることを後押しするのではなく、ためらわせる要因になってしまいます。
・警察や弁護士さんの力を借りる
また、未成年の場合は児童相談所と同時に警察にも先に相談に行きます。
事情を話して、保護者が強硬策に出た時に介入してもらえるようにします。
この時にも説明の仕方が重要です。
そして、どんな警察官にあたるかも重要です。
(悲しいことに)人には当たり外れがあるので、外れたと思ったら、別の人にあたるなどできる努力をします。
そのあたりに不安がある際には、弁護士さんを味方につけます。
警察との交渉も手伝ってくれますし、代理人になってもらい、保護者からの連絡を代わりに間に入って引き受けてもらうこともできます。
そうやって家族から離れること、追いかけられて、連れ戻されないような手立てをとります。
<続く> → ③家族から抜ける手続き