前回のお話→①行かないといけないの?
~いろんな学校のつらびっとが集まる、『放課後の居場所』にて~
もしよかったら、学校に行きたくない理由を教えてほしいな。
だって勉強はつまんないし、友達といても、なんかあんまり楽しくないし…。先生も好きじゃないし。
わたしは勉強はキライじゃないし、友達のことは好き。いじめられてもいない。でも、学校に行くとすごく疲れちゃう。最近、家で気づいたら泣いてるときもある。
大丈夫。お母さんに心配かけたくないし、それに、何か困っているわけじゃないから。
ボクは前の学校でいじめられてたんだ。それで、行けなくなった。
うんうん、理由はいろいろだ。みんな、ありがとう。理由が説明できるのすごいって思っちゃった。ぼくは学校に行きたくなかった時、どうしてかわからなかったんだよね。
そうだね!どの理由も大切な理由だと思うし、理由なんてなくてもいいよね。
子どもたちは、通う学校や所属する学級などを、自分で自由に選ぶことはできません。
一人ひとりの意欲や能力は異なるのに、多くの場合、学ぶ内容や教材はあらかじめ決まっています。授業は集団で一斉に学ぶ形がほとんどですが、そのスタイルが合う人と合わない人が当然います。
子どもたちは、人付き合いのスキルも発展途上です。そのため、たとえ悪意がなくても、傷つけてしまうことや、傷つけられることが起こりやすくなっています。
つまり、学校は学ぶことができて、友達もできたり、楽しいこともある一方で、たくさんの刺激があったり、苦手なことを強いられたり、集団への適応を求められたりする、厳しい場所とも言えます。
子どもたちの個性は実にさまざまです。
例えば、
・得意不得意、興味のあるなしがはっきりしていると…
努力しても取り組むことが難しい授業があり、じっとしていられないなど行動に出ることもあるでしょう。そのうちに、学ぶこと自体を苦痛と感じてしまうかもしれません。
・敏感だと…
いろんな音が聞こえたり、いろんな人の感情を受け取って、学校にいるだけで疲れてしまいます。人に見られると緊張を感じて、知らないうちにストレスを抱えたり、力をうまく発揮できないこともあるでしょう。
・人と合わせるのが苦手だったり、マイペースだと…
周りに合わせることや、周りについていくことに苦労し、安心して過ごせる時間が少ないかもしれません。孤独や自己否定が積み重なってしまう可能性もあります。
また、それまで学校に馴染めていたとしても、年齢による人間関係のあり方の変化や、家の環境の変化などで、状況が大きく変わることもありえます。
そもそも家庭の生活が安心や安全から遠かったり、家族の面倒を見なくてはならなかったりして、学校に行っている場合ではない子どもたちもいます。
つまり、たまたまもって生まれた個性や環境、たまたま自分が通うことになった学校やクラスによって、どのような学校生活が送れるかは大きく左右されます。
学校に馴染めるかどうかは、運しだいとさえ言えるでしょう。
いずれにせよ、「学校に行きたくない」という気持ちは悪いことでも、間違ったことでもなく、「学校に行きたい」と思うのと同じぐらい自然な気持ちなのです。
学校に行きたくない理由は本当にたくさんあって、複雑に絡み合っていることもありますし、その時で変わることもあります。理由がわからない、理由がないこともあります。
学校に行けないことに必要以上に引け目をもったり、行けない自分を責める必要はありません。あなたが学校に行けないのではなく、学校があなたに合わないだけかもしれません。
また、学校には特有の文化があるため、それが合わない理由になっていることもあるでしょう。そのことについては、③学校ってどんなところ?で見ていきましょう。